2015年12月22日、農林水産省は福岡県の「八女伝統本玉露」、鹿児島県の「鹿児島の壺(つぼ)造り黒酢」などを「地理的表示(GⅠ)保護制度」に登録したと発表した。今回は地理的表示(GⅠ)保護制度登録の第一弾となっており、同時に7品目が発表された。
(参照:農林水産省 地理的表示(GⅠ)保護制度に向けた初の有識者会議を開催

「八女伝統本玉露」は福岡県八女地域の特産品のお茶だ。霧深い地域特性を生かし、稲わらなどで覆って育成した茶葉を手摘みで収穫する もので、110年の歴史を誇る。「鹿児島の壺(つぼ)造り黒酢」は鹿児島県霧島市福山町と同市隼人町の特産品の黒酢だ。

地理的表示(GⅠ)保護制度ではそのほか、北海道の「夕張メロン」、茨城県の「江戸崎かぼちゃ」、兵庫県の「神戸ビーフ」と「但馬牛」、青森県の「あおもりカシス」、の7品目が第一弾の登録の対象となっている。

地理的表示(GⅠ)保護制度は、特定の農産物の名称を知的財産として保護する取り組みとなっている。海外ではボルドーワインやシャンパン、パルマハムといった名産品が地理的表示(GⅠ)保護制度に登録されている。

例えば、「〇〇産八女伝統本玉露」や「〇〇産鹿児島の壺造り黒酢」というような商品が市場に出回った場合、従来は、行政が取り締まることはできませんでした。

しかし、地理的表示(GⅠ)保護制度の導入により、これに登録をすると、地理的表示を不適切に利用した商品を行政が取り締まることが出来るようになります。

地理的表示を商品名に利用すると、商品のイメージを上げる効果があります。しかし、それは、その産地の生産者による長年にわたる商品改良の努力の結果であります。

地理的表示の偽装は、それらの努力をせずにブランドの利用による価格上昇の利益を不当に取得しようとするものです。

地理的表示(GⅠ)保護制度への登録は、今後ますます増えることが予想されますが、この制度が、地理的表示によるブランドを保護することを通じて、産地の生産者による長年の努力の成果を守る役割を果たすことが、期待されます。