2013年7月、日本は環太平洋経済連携協定(TPP)を結ぶべく、交渉へと入る。
(参照:伊藤忠商事のカジュアルブランド「アウトドアプロダクツ」が、「サンマリノ」と独占FC契約)

国内ではTPPを巡る議論が重ねられてきた。ただでさえ衰退が否めない日本の農業が、TPPへの参加で米国をはじめとする海外の圧倒的規模の農業から打撃を受けるのではないかと不安の声が挙がっている。日本の参加が認められた際には、農業産物関税の大部分について段階的な廃止を求めると米国の農業団体が4月15日に表明したばかりである。

日本の農業はすでに量より質に重点を置いた付加価値戦略に傾倒している。もはやブランドを確立しなければ市場で生き残ることは難しいだろう。

ブランドの確立に商標を利用した例には、松坂牛などのブランド牛のもととなったことで有名な沖縄特産の「石垣牛」がある。2008年に地元のおきなわJAにより「石垣牛」という名前とロゴを組み合わせて商標登録された。また1996年に商標権を取得したアグー豚の「あぐー」もある。

ただし、弊害も多い。商標を使用するためには品質維持の観点から高価な飼料を用いなければならないなどの条件があり、商標権者である農業協同組合(JA)の提示する条件を満たせなければ、在来種であってもその名前を使用することができない。市場では取引を断られることもあるという。

問題として取り上げられてはいるものの、政府はこれまで農業において有効な政策を立てられずにいる。TPP参加後は、押し寄せる海外製品との明瞭な区別化にこの商標も用いられることだろう。特産物のブランド化を巡る問題はさらに根深くなりそうだ。

TPPの交渉に参加ということであらゆる業界で様々な憶測が飛び交っています。

私たち弁理士も例外ではなく、米国の代理人が国内でも手続を行うようになってくるのではという話があります。
さて、農業を営む人にとっては死活問題ですね。非常にデリケートな話題ですので私自身が関税撤廃に賛成反対というのは言わないようにし、このニュースに対してのコメントを書きたいと思います。

 牛肉、豚肉、果物、米などのブランド化が進んでいます。消費者としても商標を見て、そのブランドが持つ品質保障機能を信じて購入することになります。つまり、ブランドの維持のためには「品質維持の観点から高価な飼料を用いなければならないなどの条件」は当たり前のことです。これに反対であればそのブランドを使わなければよいことになります。しかし、同じ地域で牛や豚を飼育している人の中にも飼育に対して色々な考え方があるでしょう。ブランド名を借りないと高く売れないから仕方なく飼育方法に従っているものの本当は自分なりの飼育の方が美味しい肉を作れるという葛藤もあるかもしれません。

 実は、それは凄いチャンスでもある(自分の商品をブランド化するチャンス)わけですが、一農家、一畜産家にとってはどのように自分の商品をブランド化していけばよいのか分からないでしょう。また、消費者としてもブランド名が増えすぎると、結局何がいいか分からなくなると思います。解決方法として、私が相談を受けたとすれば、地区町村が協力して一つのブランドだけでなく、二つか三つ程度のブランドを作って行くことをすすめます。特に、既にブランド化しているものは今まで以上に品質に気を遣いつつ、このブランド力を利用して同じ地域の他の品質の商品も売り込みをかけるように進めます。具体的には・・・長くなるので実際に相談を受けた場合に話すことにします。

 TPP交渉参加はあらゆる産業に影響していますが、実際にTPPに参加した場合にはチャンスも沢山あります。そのチャンスを活かすためには既存のしがらみを壊していく必要があるでしょう。私たち弁理士としても、TPPに参加が決定(交渉に参加ではなく、実際に稼働しだしたら)したら、そこで勝っていけるアドバイスができるように考えていかないといけないですね。