2015年12月15日、農林水産省は「GⅠマーク」登録のための有識者会議を開催した。認可され登録ができれば、「GⅠマーク」を表示できるだけでなく、知的財産として行政の取り締まりのもとに保護されることになる。
(参照:特許庁、「地域団体商標と地理的表示(GⅠ)の活用Q&A」を発表

この制度は「地理的表示(GⅠ)保護制度」と呼ばれ、特別の生産方法や気候・ 風土といった特性にもとづき高い品質評価を得たものを、知的財産として保護しようとの取り組みだ。

当該制度の有識者会議は初めてで、今回の会議では「鹿児島の壺造り黒酢」「八女伝統本玉露」「夕張メロン」「江戸崎かぼちゃ」「あおもりカシス」「神戸ビーフ」「但馬牛」の7品目が審査された。認可されれば、この制度で初めての登録となる。

この「地理的表示(GⅠ)保護制度」は農林水産省が所轄する制度であり、特許庁が認可する地域団体商標制度と似ている。

しかし「地理的表示(GⅠ)保護制度」は登録時に品質等の規準内容の公示が必要であるほか、登録団体が規定の品質管理を行なう保護期間が無制限である、地域を特定できれば地名の必要がない、不正使用に対して行政が取り締まりを行なうなどの点が異なっている。

農林水産省のHPによると、地理的表示(GI)保護制度には、以下のような特色があります。

(1)「地理的表示」を登録することで、産地の品質について国がお墨付きを与える
(2)基準を満たすものにGIマークを付し、品質を守るもののみ市場に流通するようにし、差別化を図る
(3)不正な地理的表示の使用は行政が取締るので、訴訟の負担がなく、ブランドの維持が可能
(4)登録された団体に加入することで、生産者の「地理的表示」の使用が可能になるので、地域の生産者の全体が「地理的表示」を使用できる


「地理的表示(GⅠ)保護制度」の設立以後、生産者は、特許庁が管轄する「地域団体商標」と農林水産省が管轄する「地理的表示(GⅠ)保護制度」の双方を選択して利用できるようになりました。

地域の優良な農産物を効果的に日本全国や海外に宣伝するには、地域ブランドの利用が不可欠です。双方の制度を選択的に利用することで、生産者は、地域ブランドがより利用しやすいものになります。

今回、農林水産省で、地理的表示(GⅠ)保護制度に向けた初の有識者会議を開催されましたが、その会議の結果を踏まえ、「地理的表示(GⅠ)保護制度」が「地域団体商標」との異同を踏まえつつ、生産者にとってより効果的な制度として発展してゆくことが期待されます。