2018年1月28日、繊維大手のレナウンはアパレルブランド「アクアスキュータム」の日本国内商標権を取得する。今後はこれまで以上に国内における積極的なブランド展開を進めていく方針だ。(参照:洋菓子チェーン大手の不二家、仏「DALLOYAU」商標権を取得

これまでレナウンは国内における「アクアスキュータム」製品を販売するにあたり、商標権者であり、レナウンがグループ企業として傘下にいる中国繊維大手の山東如意科技集団にライセンス料を支払ってきた。

しかし、ライセンスコストが年々増加するとともに、契約打ち切りのリスクも抱えているため、今回の商標取得を決定した。これにより、レナウンは資本集中による再建を加速したい考えだ。

商標は、レナウンの香港子会社RENOWN I.F.G. HONGKONG LIMITEDによって取得される。取得額は5000万ドル(約56億円)と発表されている。現在「アクアスキュータム」、レナウンともに山東如意科技集団傘下のグループ会社となっている。

ライセンス料の相場は、通常使用権で売上げの3%~5%、専用使用権で売上げの10%程度と言われています。今まで、レナウンが「アクアスキュータム」の商標権者である山東如意科技集団にライセンス料と支払ってきた金額は、恐らく設定されていた権利が専用使用権でしょうから、売上げの10%程度と考えられます。

今回の商標権の買収の対価が約56億円ですから、時間の経過による割引率を無視した単純計算で、「アクアスキュータム」のブランドを使用した売上げが560億円以上になれば、この買収は成功したということができます。

いずれにしても、56億円と言う金額は非常に大きな金額です。そのような大金を支払ってでも「アクアスキュータム」のブランドを独占的に使用したいという、このブランドに賭けるレナウンの強い意気込みを感じます。