2017年6月20日、九州経済産業局は熊本の菓子である「熊本いきなり団子」を地域団体商標として登録されたと発表した。熊本地震後の復興のみならず、「熊本いきなり団子」を世界に知名度を知らしめる弾みにしたいと期待されている。
(参照:「くまモン」熊本県営業部長の面目躍如。ブランド関連商品の売上高が前年比1.5倍に

商標権者は熊本県菓子工業組合となっている。2012年および2015年の2回にわたって地域団体商標に出願していた。

「熊本いきなり団子」は、サツマイモと餡を小麦粉生地で包んだ地元のお菓子だ。大福に輪切りのサツマイモが同居しているといえば、想像してもらえるだろう。「いきなり」尋ねてくる突然の訪問客にもすぐにお出しできるお菓子、あるいは短時間で「いきなり」作れるお菓子として地元で親しまれている。

製造元の工房ごとにサツマイモの品種や小麦粉の配合などが違い、個性的な味を楽しめる。各家庭にそれぞれ贔屓の「熊本いきなり団子」のお店があり、好みを比べ合う楽しみもある。お菓子専門店はもちろんのこと、地元スーパーやコンビニなどでも扱っており、家庭での手作りも楽しまれている。

今回、「熊本いきなり団子」の地域団体商標登録を行った熊本県菓子工業組合は、「熊本いきなり団子」が世界的な知名度を有するお菓子となることを目標に掲げている。熊本県の範囲を超える地域に対して「熊本いきなり団子」を宣伝・広告を行うとすれば、地域団体商標登録を行っておくことは、必要不可欠だといえます。

熊本県以外に住んでいる消費者は、地域団体商標登録のない「熊本いきなり団子」のブランド名で販売されている商品を見ても、それが本当に熊本県で製造され、熊本県の歴史と文化を反映した商品であるとは容易に信じないでしょう。しかし、地域団体商標登録がしてあれば、他地域の消費者も「熊本いきなり団子」のブランドを信用することができます。

このような理由から、地域の特産品を、その生産地が属する地域の枠を超えて宣伝・広告を行う場合には、地域団体商標登録は不可欠な手続きであるといえます。