2017年3月2日、最高裁判所第1小法廷は大阪の腕時計ブランド「フランク三浦」が商標権侵害に当たらないとした判決を下した。
(参照:腕時計ブランド「フランク三浦」の商標登録が有効判決

この商標権をめぐる訴訟は、スイス高級腕時計メーカー「フランク・ミュラー」が提訴したものだ。2012年、大阪市の腕時計メーカーは「フランク三浦」というブランド名を商標登録し、同名で腕時計を製造販売を開始した。

2014年9月、特許庁は「全体の語感が似ており紛らわしい」との理由で登録無効を決定。それを受けてフランク三浦は登録無効の取り消しを求めて提訴した。

2016年4月に知財高裁は「フランク三浦」の有効性を認め、登録無効の取り消しを命じていた。知財高裁は100万円超の高級時計と数千円の低価格時計が混同されることは考えられない、としている。

そして今回の最高裁判決となった。スイスのフランク・ミュラーはトップブランドに蓄積された信頼にただ乗りし、イメージを毀損すると主張していた。ブランド侵害とパロディの境界線の判断が求められた裁判事例といえるだろう。

「三浦」は日本人のありふれた苗字、「ミュラー」は、スイス人の時計職人フランク・ミュラーのファミリーネームが語源で、大きく異なるので、これだけみれば、消費者に誤認・混同を与えるような印象はないようにも思えます。

しかし、その一方、大阪の時計メーカーは、スイスの高級時計メーカー「フランク・ミュラー」を意識して、「フランク・三浦」のブランドを考案したことは間違いがありません。

「フランク・三浦」は、商標法第4条の「商標登録を受けることができない商標」に該当するかしないかのギリギリのところに該当するものといえます。特許庁と知財高裁でも判断が分かれましたが、最終的には、最高裁が「フランク・三浦」の正当性を認め、これが最終判断となりました。