2013年4月24日、特許庁はウェブサイトに「詳細版 審査実務の相違点に関する報告書(先行技術の開示)」の和訳文書を掲載した。
(参照:特許庁 地域団体商標の出願/登録/査定案件リスト最新情報を公表)

「審査実務の相違点に関する報告書」とは、 日米欧中韓の五大特許庁において、審査官による他庁の審査結果に対する深い理解を促し、適切な利用に役立てることを目的として、審査実務上の相違点やその要因である法令や判例を取り上げ、まとめた文書である。

従来は「異なる実務のカタログ」と呼ばれており、名前の変更とともに2012年1月と8月に法令やガイドラインの変更に伴って、内容が更新されている。もともとは英語文書であるが、特許庁では和訳文書も読むことができる。

今回新しく公開された「詳細版 審査実務の相違点に関する報告書(先行技術の開示)」の和文仮訳は、先行技術を焦点に2011年12月に作成の合意にいたり、2012年12月に公表が決定した新しい文書である。

その内容はこれまでの「審査実務の相違点に関する報告書」よりさらに詳細な項目が設けられており、項目ごとに各庁の実務内容に対応する法律や審査基準の情報を参照できるようになっている。また専門用語の定義と、実務の概要を表形式でまとめた対比表も掲載している。

「審査実務の相違点に関する報告書」は、海外の特許審査に関して非常に分かりやすくまとまっているので、各国の特徴を簡単に理解した場合にはおすすめです。

各国の審査でよくもんだいとなるのはグレースピリオド(新規性喪失の例外)についてです。日本は米国に合わせて広く認める方向で動いていますが、欧州や中国などでは殆ど認められません。

先日、弁理士会の某委員会の代表の一人として、特許庁の方々とグレースピリオドについて話し合う機会がありました。

その中では、グレースピリオドはあくまで非常時の手段であり、基本的には使用しないでもいいようにお客様に話していくべきという意見が多かったです。

特許、実用、意匠の出願を検討されている方や企業は、出願するまで公開しないように気をつけましょう。

特に大学教授等は、学会発表が仕事なので発表したがります。できる限り学会発表よりも前に出願するようにしましょう。