商標法の目的とは何でしょうか。商標法第1条では、「この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。」と定義されています。(参考:商標権の侵害とは? 法律の文章だと分かり難いですね。重要な項目は4つあります。 1.商標を保護する 2.商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図ること 3.産業の発達に寄与すること 4.需要者の利益を保護すること

1.商標を保護する

1は文字通り商標を保護することを目的としています。商標権には商標を使用する権利(使用権)と、第三者が商標を勝手に使用することを防ぐ権利(排他権)が含まれます。 商標を使用する権利は、商標権を取得すれば、その商標登録をした商品又は役務に使用することができる権利です。   一般的に商標を取得するのは、何かしらの商品又はサービスに使用することを目的としているはずです。ですから、使用権は、商標の基本的な権利と言えます。 商標権を取得することで、第三者から干渉を受けずに独占的に商標を使用することができます。また、他人にライセンスすることもできます。ライセンスにより利益を出すことも可能です。 また、商標を取得する以上、他人が使用することを防止したいでしょうから排他権も重要な権利となります。排他権により、商標を使用する権利がない第三者が使用した場合、差し止め請求や損害賠償請求が可能となります。  

2.商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図ること

2も商標権者に関わってくる権利です。商標の保護対象は、業務上の信用です。商標は、特許や実用新案、意匠と異なり、商標自体には使用しなければ何も保護すべき対象がありません。 商標はとりたてて新らしいものでもないですし、何かしらの技術もありません。商標は、使用を継続することにより、商標に信用が化体するため、その信用が保護すべき対象となり、信用が財産となるのです。

3.産業の発達に寄与すること

3は、特許、実用新案、意匠と同様の規定です。商標を保護することにより、商標権者の利益を保護でき、商標を使用している者の産業を保護できるので、結果として産業の発達に寄与することになります。 もっとかみ砕いて説明すると、商標を保護することでその商標を使用する権利は商標権者が持つことになります。商標を独占的に使用できることは、その商標を使用している商標権者の製品やサービスを保護できるため、結果として製品やサービスの技術も保護できることとなります。 このように言うと、商標だけで技術も保護できるような語弊を招くかもしれませんので敢えて言うと、商標法では技術などは保護対象となりません。技術などはと他の産業財産権で保護すべきものです。 しかし、商標法では信用を保護できるため、技術を持っている優良企業を保護することができ、結果として企業の技術等も保護できることになります。言い換えれば、商標を付した商品やサービスの品質を常に維持することで商標の信用がさらに増すことになります。 商標の信用が増すと、他の企業が同一技術に参入してきても商標のブランド力により商標権者の利益を守ることができるため、結果として技術などを守ることにも繋がるのです。

4.需要者の利益を保護すること

4は特許、実用新案、意匠などの他の産業財産権と比較すると得意なものです。特許、実用新案、意匠では、基本的に権利者の保護のみを目的としていますが、商標では、需要者の利益の保護も目的としています。 需要者の利益の保護とは、商標に化体する信用が重要なファクターになります。商標に信用が化体するためには、商標権者が商標を付した商品やサービスの品質を常に高くする必要があります。 品質が低いと商標に信用が化体するどころか、逆に、あの商標が付されている商品やサービスは避けようということになってしまいます。商標に信用が化体すると、商標権者は、その信用の維持を図るために常に品質の向上を心がけます。 需要者としては、信用が化体した商標が付されている商品やサービスであれば、信用して購入又は利用することができます。つまり、信用が化体した商標が付された商品やサービスであれば、使用者が損することはなくなるのです。よって、商標法では、需要者の利益の保護も目的としているのです。   このように、商標法は、商標権者と需要者の両方の利益を守ることを目的とした法律です。ですから、商標権者にメリットのある法律、例えば、使用権や排他権についての規定や、差し止め請求、損害賠償請求に関する規定がある一方、需要者を騙すような使い方をした場合には取り消すことができる不正使用取り消し審判なども規定されているのです。