2016年3月14日、特許庁は「特許法条約」及び「商標法に関するシンガポール条約」に加入したと発表した。これにより、商標登録出願の手続きが諸外国と統一されることとなり、出願する際の簡素化が期待されている。
(参照:特許庁、インドネシアの商標審査官を招へいし研修を実施

今回、特許庁が加入を表明した「特許法条約」は「PLT」、「商標法に関するシンガポール条約」は「STLT」と略される。この条約に加盟することにより商標登録出願の手続きが統一化され、複数の国への出願を行なう場合に利便性が高まることとなる。

「STLT」には商標登録出願の際の願書に記載すべき要件が制限されているほか、出願日の認定要件が明確になり、さらに却下する際には意見陳述のチャンスを与えなければならないとされている。

さらに「STLT」には視認できない音などによって構成される商標にも適用されることや、電子手続きに対応した書類の提出についても規定されている。

「特許法条約」は2005年の発効以来、世界の36か国が締結、「商標法に関するシンガポール条約」は2009年の発効以来、世界の39か国および2つの政府間機関が締結している。

現在のわが国では、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の締結に向けて準備中ですが、TPPが発効した場合には、日本を含めたTPP加盟国の関税が大幅に引き下げられます。

そのため、我が国の企業にとっても、将来のTPP発効をにらんで、外国において新たな市場を獲得できる力をつけておくことが必要です。

外国で新たな市場を獲得するには、高品質かつ低価格の商品を生産することはもちろん重要ですが、それとともに、外国において商標権を取得する等の知的財産対策も大切です。

今回、日本政府が「STLS」に加入したことで、加盟国間における商標権に関する手続きがより一層行いやすくなります。このことは、TPP発効に向けて海外での競争力を強化しようとする日本企業を知財の側面から支援する結果となり、好ましいことと言えます。