2016年1月27日から2月2日、特許庁は途上国の財産権にかかわる人材を招へいした研修コースを実施した。産業財産権制度にかかわる人材を育成するとともに、日本の商標制度について伝えることが目的となっている。
(参照:特許庁 4月から商標登録・更新等の料金値下げ

今回招へいされたのは、インドネシアにおいて商標審査官を務める5名の人々だ。研修生として来日した審査官たちは、日本の商標制度について学んだ。特に商標審査実務や商標審査基準についての造詣を深めることができた。

また研修生たちは知識を専門能力を向上させると共に、日本の商標審査官ならびに知的財産関係者とのつながりを深めていった。今回の招へいを通じて、日本の特許庁の審査官や関係者も意見交換やOJTにより両国の審査制度の共通点や相違点を学ぶ良い機会となった。

特許庁はこうした研修制度によりアジア太平洋地域、ラテンアメリカ及びアフリカ地域の途上国・新興国から研修生を招へいし、知的財産権の保護ならびに産業知財権制度における人材育成を目指している。

日本企業の海外での活動を促進するには、円高に誘導したり、投資を活発化するために低金利に誘導するとか、そういった政策も重要ですが、今回特許庁がインドネシアの商標審査官を日本に招いて研修を実施したような、人的な交流も重要な役割を果たします。

今回、日本で研修を受けたインドネシアの商標審査官が自国に戻ると、インドネシアの商標制度において基盤となる人材として活躍すると考えられますが、その方々が日本の商標制度に精通していると、日本企業がインドネシアで活動する際に、よい影響を与えることは間違いありません。

アベノミクスの成長戦略の1つとして、日本企業が海外で市場を獲得できる力を養成するという政策がありますが、知的財産に関するそれらの1つとして、特許権や商標権の登録料や更新料の引下げや、主要国共通の知的財産に関するデータべースの構築等様々なものが実施されています。今回の特許庁が行ったことは、成長政策の一環に海外との人材交流もあるという事例でした。