2016年3月22日、特許庁は商標審査基準を改訂したと発表した。今回発表されたのは改訂第12版となり、4月1日以降の審査から適用されるようになる。
(参照:特許庁 「特許法条約」及び「商標法に関するシンガポール条約」に加入

商標審査基準は商標審査をする際の基本的な考え方がまとめられている。審査側が一般的な指針とするほか、出願人や代理人が審査結果の予見をしやすくする元となる基準だ。

初版発行以来、商取引を取り巻く環境が変化してきたことに対応する必要があるほか、ユーザーからも明確でわかりやすい基準を望む声が上がっていた。それに応える形で商標審査基準ワーキンググループが意見募集を行なった上で今回の改訂を行なった。

改訂版には近年の裁判例を踏まえて実例を変更したほか、用語を統一するなどわかりやすさを追求したものとなっている。商標審査基準は昭和46年に初版が発表されており、その後部分的な改訂を繰り返してきたものの全面的な見直しは45年ぶりとなる。この見直しは今年度と来年度の二か年計画で進められることとなっている。

商標を出願しようとする方にとっては、分かり易い商標審査基準があれば、それに基づいて、出願した商標が登録されるかどうかを事前に高い確率で判断できるようになりますので、そのメリットは大きいものとなります。

出願商標の登録の可否の基準が出願前に分かれば、当然に、拒絶されるような出願がなされる可能性は低くなります。このことは、審査する側である特許庁のメリットにもなると言えます。

また、一度出願した商標が登録拒絶された場合には、拒絶査定不服審査請求を行って、登録を拒絶した特許庁の査定を争うことになりますが、その際にも、不服審査請求を行なうか行わないかの判断や、不服審査請求の手続きの過程においても、商標審査基準は重要な役割を担います。

今回、商標審査基準が、商標権を巡る環境の変化に対する配慮することや、用語の統一を図ることにより、より明確で分かり易い基準に改定されたことは、商標審査基準が商標に関する手続きにおいて重要な役割を果たすことを考えると、商標手続の全般に対して非常に好ましい影響を与えることだと言うことができます。