特許や商標など、工業所有権を国際的に保護するための基本原則を定めたものがパリ条約です。特許出願、発明証出願、実用新案、意匠また商標の登録出願などにおいて、この条約に加盟する約160カ国における知的財産権を守る規定となっています。

「内国民待遇」 工業所有権において、自国民(内国民)と外国人を差別してはいけないという条項です。出願された内容を審査する場合には、外国人だけ厳しい基準で扱ってはならず平等に扱う必要があります。つまり、パリ条約に加盟している国の国民に対しては、内国民に対する待遇と同様の待遇をしなくてはいけません。

「優先権」 自国への出願に続いて外国へも出願をする場合に、一定期間内は優先権を認めるという条項です。外国に商標登録出願する場合、書類準備などに時間がかかるため海外のライバルが先に同一又は類似した商標の出願をしてしまう可能性があり、国際展開が阻まれる恐れがあります。それを防ぐ狙いで、自国で商標登録出願した日から6ヶ月以内は、自国での出願日から外国の出願日までの間に起きた事件(第三者の出願など)の影響を受けることなく、自国での出願日を基準に登録性を審査される権利が認められているのです。

「特許独立の原則」 出願された特許の審査・無効・消滅などは、各国が独立して行なうという原則です。他国で無効にされたという理由だけで無効にしてはならない、ということになります。属地主義とは趣旨が異なります。