2016年2月17日、知的財産高等裁判所は「DualScan」の商標をめぐる裁判で、タニタの商標を無効とする判決を言い渡した。この判決で、特許庁の判断を誤りだとする見方を示したことになる。
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この裁判は、「DualScan」という商標がオムロンとタニタの双方の商品に対して登録されたことに端を発している。2008年、オムロンは医療用内臓脂肪測定器の商標として「DualScan」を登録した。その後、2013年にタニタが家庭用体脂肪計測付き体重計に同じ「DualScan」の商標を申請し、登録された。

オムロンは、指定商品が類似しているとしてタニタの商標無効審判を特許庁に申し立てた。2015年6月、特許庁は「家庭用と医療用は用途や必要とする人が違うため、誤認・混同の恐れはない」ことを理由に無効申し立てを却下していた。それを受けてオムロンは知財高裁へ審決取り消し訴訟を請求し、今回の判決となった。

今回の判決に関して知財高裁は「医療用測定器を学校やフィットネスクラブで使用するなど、医療用と家庭用の機能や性能が近づきつつあり、誤認・混同の恐れがある」ことを認定した形だ。

今回の裁判の最大の焦点は、オムロンが「DualScan」の商標出願をした際の指定商品「医療用内脂肪測定器」と、タニタが同じ商標の登録出願をした際の指定商品「家庭用体脂肪測定器」が、類似商品に該当するかどうか、ということです。

医療用の体脂肪計であれば類似群コード10D01に、家庭用の体脂肪計であれば、同コード10C01に該当します。よって、コードが異なるので、家庭用と医療用は用途や必要とする人が違うため、誤認・混同の恐れはないという特許庁の判断にも、それなりの合理性もあります。

しかし、知的財産高等裁判所は、その判断を覆し、医療用と家庭用の境界があいまいになってきている現状を指摘し、タニタの商標を類似商標と判断して、その商標登録を無効としました。

類似群コードが異なるから類似商標ではないという考えももっともですが、高裁では、その考えを採用せず、医療用と家庭用の垣根が低くなってきているという事実をより重視しました。この高裁の判決により、類似群コードが異なるとはいえ、同じ機能を持つ商品に対して全く同じ商標を登録するのは、やはり、慎まなければならないという判断が示されました。