2016年2月9日、明治はうがい薬「イソジン」の商標登録をめぐって東京地裁に対して仮処分命令の申し立てを行なったと発表した。製薬会社へのキャラクターデザインの使用差し止めを求めている。
(参照:企業のロゴやブランドのマークなどの商標を出願する際の注意点を教えて下さい。

申し立てがあったのは、うがい薬「イソジン」のパッケージに使用されているキャラクターデザインだ。このキャラクターは「カバくん」と名付けられ、明治によって商標登録されている。

うがい薬「イソジン」の商標権者は世界的な製薬会社ムンディファーマである。明治グループは1961年以降、このうがい薬「イソジン」の商標ライセンス契約を締結し、製造・販売してきた。2016年3月末をもってこのライセンス契約が終了する。明治は有効成分が同じ新商品を「カバくん」のデザインを使用して販売する計画だ。

一方、ムンディファーマは新たに塩野義製薬と独占販売提携契約を締結し、うがい薬「イソジン」として販売することになった。その新「イソジン」のパッケージに明治の「カバくん」に似た類似デザインが使用される見通しとのことで、今回のキャラクターデザイン使用差し止め仮処分の申し立てとなった。

うがい薬といえば、小さい子供が使用することも多いですが、うがい薬「イソジン」のキャラクター「カバくん」は、そういった小さい子供たちに対して、親しみやすいイメージを与えることで、うがい薬の販売促進に役立っていたことは間違いはありません。よって、商標権者である明治が、類似商標を使用しようとしているライバル企業に対してその使用の差止めを求めることは当然のことです。

ただし、今回のケースでは、今年度末に、商標「カバくん」が標章する商品であるうがい薬「イソジン」の販売委託先が、商標権者である明治から、類似商標を使用しようとしている塩野義製薬に変更になったという事情があるので、少々複雑です。

しかし、商標権の効力は、商標が標章する商品やサービスのライセンス契約の動向とは無関係ですから、仮に争いになった場合には、明治側の主張の方に分があると考えられます。いずれにしても、東京地裁が仮処分の申し立てに対してどのような対応をするのかが注目されます。