米ウォルト・ディズニーが新作映画公開へ向けて、メキシコの祝日である「死者の日」の商標登録を出願していたが、2013年5月12日までにこの出願を撤回していたことが明らかになった。
(参照:徳島県の「大歩危妖怪村」が「児啼爺(コナキジジー)」を商標登録)

「死者の日」はラテンアメリカ諸国にみられる祝日のひとつで、毎年11月1~2日の間、特にメキシコで盛んに祝われる。日本のお盆やハロウィーンにも通じるところがあると言われており、故人と親しかった家族や友人などが集まり想いを語り合う伝統的な日で、2003年にはユネスコの無形文化遺産にも指定されている。

「死者の日」をテーマにした映画を公開予定なのはディズニー子会社のピクサーであるが、この「死者の日」のスペイン語名「Dia de los Muertos」を、映画の題名やオモチャ、食品、衣料品などの関連商品に使う権利を求め、商標登録の出願をしていた。

一方で、文化を売り物にする行為であるという主張により、インターネット上では登録阻止を訴える署名活動にまで発展。この批判を受けての判断かは不明だが、題名を変更するという理由で出願は撤回された。

この事件は、米国特許商標庁の判断でなく、ディズニー社独自の判断ですね。
商標権取得は、商標の保護やブランド保護を目的としており、商標権の取得によってブランド力に傷が付いては元も甲もありません。ブランドイメージを重要視しているディズニー社にとっては妥当な判断だと思います。

では、出願の取下げをしなかった場合、米国特許商標庁(参考:アメリカの商標の制度)ではどのような判断をされたでしょうか。

米国商標法第2条(15 U.S.C. §1052)を参照すると、「信仰若しくは国民的な象徴を軽蔑し,若しくはそれらとの関係を偽って示唆し,又はそれらを侮辱し若しくはそれらの評判を落とす虞のある事項」は拒絶されるので、主登録簿に登録されることはなかったかもしれません。
いずれにしても、登録を目指す商標が他人を不快にさせるものだとブランド戦略に大きな障害となるため、気をつける必要があります。日本語では問題なくても、海外では同じ称呼で全く違う意味を持っていることがあるので、海外も視野に入れて商標登録を目指すのであれば、英語とフランス語で変な意味にならないか位は調べておくといいと思います。