飲料メーカーのカルピス株式会社が登録した商標「ほっとレモン」について、知的財産高等裁判所で商標として認められるかどうかの審議が続けられていたが、商標としては認められないという結論に達したことが2013年8月28日に明らかになった。
(参照:沖縄県産シークヮーサーのブランド力強化を狙い、地域団体商標を出願)

「ほっとレモン」はコンビニエンスストアなどで取り扱われているレモン風味のホット飲料で、平成4年の発売開始から20年以上も続くロングセラー商品だ。昨年だけでも6,000万本の売り上げが記録されている。

今回の裁判は、ほかのメーカーから異議申し立てがあり起こされたもの。商標として認められない理由について、裁判所は、レモン風味の味付けをした温かい飲み物という、原材料を普通に用いた名前である点を挙げた。また、同様のレモン風味のホット飲料は他社からも発売されており、その中で「ほっとレモン」だけを商品名として扱うことはできないと言い渡した。

この判決が確定となれば、ほかのメーカーからも同名の「ほっとレモン」という商品が販売できるようになる。今回の判決に関係なく、カルピスは販売を継続するとしている。

これは、異議申立の裁判ですね。商標として認められるかではなく、商標法の規定を満たしている商標であるかの判断がなされました。

結果として、異議申立が認められ取消となりました。判例を見てみると、一般の人にとって「ほっとレモン」は、ポッカの商品というイメージのようでカルピスの商品というイメージはあまりないようです。よって、裁判で3条2項の適用は誤りであるとして異議申立が認められました。

3条2項とは、単なる品質や材料などを表示している商標(記述的商標)であっても、使用を継続してきたことにより何人の商品又は役務であるかが全国的に認識されるようになれば、特別に登録を受けることができる旨の規定です。

カルピス社としては、商標の希釈化を避けるため努力をしていたようですが、残念ですね。
3条2項が認められても異議申立でアウトになるとは、担当した弁理士も残念だったと思います。