2017年1月21日、特許庁が商標権管理の仕組みを、より使いやすいものへと変更することが明らかになった。仕組みの変更は2017年4月から実施される予定だ。
(参照:特許庁 地域団体商標の最新データを整理・公表

商標権管理の変更のひとつは、子会社が親会社と同じ商標を取得可能な仕組みとする点となっている。従前では、ある商標を出願・登録したならば、商標権者以外のものが後から同じ商標を出願しても通らなかった。

これは、商標権というものが登録した商品の名前やロゴを独占して使用できる権利、という制度の仕組みによるものだった。

しかし今回の審査基準改定により、親会社が認めるならという前提で親会社の取得した商標権を子会社にも登録を認可することが可能となった。これにより、親会社・子会社という同系グループ企業内でひとつの商標を共有できることになった。

商標権管理の変更の別の点は、対象となる商品カテゴリーを後から広げることが可能となった点だ。商標申請を提出する際には対象となる商品カテゴリーを指定するが、いったん出願したあとで対象カテゴリーを追加して広げることができるようになる。

子会社が、親会社が持つより大きなブランド力を活用したいと考えることは当然のことですが、今までは、子会社が親会社のブランドで商標出願をしても、その商標権が認められることはありませんでした。

そのため、子会社は、親会社のブランドの使用しないか、又は、親会社に黙認してもらってそのブランドを使用するかという、いずれにしても不適切な選択を強いられてきました。

しかし、今回の改正によって、親会社の承認があれば、子会社が親会社のブランドの商標権を取得するすることが可能となり、親会社・子会社双方にとって、より適切にブランドを活用できるようになります。

また、今までは、同一のブランドを、商標出願時に設定したカテゴリー(区分)とは別の区分に使用しようとする場合には、新たにその区分を指定して商標出願をする必要がありましたが、今回の改正で、そのような場合でも、従来の商標権の区分の追加変更で対応することができるようになります。

いずれにしても、今回の特許庁による商標権管理の方法の変更によって、商標権の活用がより一層スムーズに行えるようになることは間違いありません。