2016年1月19日、特許庁は特許関連および商標関連の料金を値下げすることを公表した。これは平成27年の法改正に伴う料金改定に基づいており、平成28年4月以降に適用されることとなる。
(参照:特許庁、商標登録料の25%引き下げでブランド保護を推進

今回、改定される料金は、特許等を出願するときに必要な出願料、審査が通った案件に毎年かかる特許料、商標登録の際の商標設定登録料や更新登録料、国際登録をする際の個別手数料、そしてPCT国際出願にかかる手数料となっている。料金改定は全般的に1割ほどの値下げとなっていて、これまで以上の知的財産保護や発展をめざしている。

また、今回の特許法改正には職務発明制度の見直しも含まれている。企業の下での研究によって発明がされた場合にも特許を受ける権利が発明者にあるとした制度が改定され、見返りとなる報酬の規定整備を条件として発明を企業に属するものとなった。報酬を受ける際の手続きや対価に関するガイドラインが近く公表されることとなっている。

今回の特許法改正の内容には、商標登録料や更新料の引き下げも同時に行われます。商標登録料は改正前の区分数×37,600円が、改正後は区分数×28,200円に、10年ごとの更新料が改正前の区分数×48,500円が、改正後は区分数×38,800円に、それぞれ引き下げられます。

日本における商標登録の件数は年間約11万件程度ですが、隣国の中国では、2013年には商標の年間登録件数が188万件にも達しています。このため、例えば、「無印良品」の商標が中国で先に登録され、その取消しに7年を費やした事例や、中国で「今治」が商標登録されたため、日本の「今治タオル」の商標登録に5年かかった、というような事例が発生しています。

今回の改正に伴う商標登録料等の引き下げは、商標登録の出願が経営基盤の弱い中小企業が多いことに配慮し、その料金を引き下げることで中小企業の商標登録を増加させ、結果として日本における商標登録件数を増やすことが目的となっています。そうすれば、上記のような、他国に日本由来の商標権を先に登録されることを防ぐことができます。