世界各国で、「iWatch」と同一又は類似の商標が、Apple社以外の者によって既に登録されています。

例えば、EUには、EU共同体商標というのがあります。このEU共同体商標では、アイルランドの法人Probendi社が、コンピューター関連の区分を指定して、「iWatch」の商標を2009年2月に登録しています。

米国では、SWATCH社が2009年1月に類似商標「iswatch」を商標登録しています。SWATCH社は、Apple社に対して「iWatch」自社製品に使用しないように警告をしていたようです。また「iWatch」という商標で登録している会社や個人も20以上あります。

日本では、「iWatch」を、ジャグループ・マルヒというアメリカ在住の個人の方が、類似群コード「11B01」「11C01」「11C02」の商品を指定して、2013年7月に商標登録をしています。また、本家であるApple社も、それを、類似群コード「11B01」「11C01」「11C02」を含む複数のコードに属する商品を指定して、2014年6月に商標登録をしています。

なお、Apple社は、ジャグループ・マルヒさんが「iWatch」の商標を登録した2か月後の2013年9月に、その登録に対して異議申立てをしております。両者の共通する類似群コード「11B01」「11C01」「11C02」には、携帯電話機、電子計算機用プログラム、電子計算機、電子辞書など、今回発売されたウェアラブルデバイスの主要な機能が含まれています。

ちなみに、Apple社の商標権は、本国で同一商標を出願した時期を日本での商標の出願時期とする優先権の主張が認められていて、2012年12月に日本で出願したものとみなされています。

Apple社では「Mac」、「iPad」、「iPhone」、「iPad」と発売してきました。当然次は「iWatch」と予想されておりました。

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しかし、実際には「Apple Watch」となりました。この背景には、上で述べたように、EU、米国、日本等主要先進国をはじめとして、世界中で「iWatch」が既に登録されているため、その名前を使うと、世界中で商標権をめぐる訴訟が提起されるリスクがあります。それを避けるために、「iWatch」ではなく、「Apple Watch」で発売したのではないかと思われます。