IPS液晶は今では広く使用されている液晶ディスプレイの方式であるが、これも実際には登録商標である。そのため、商標権者の許可なくして勝手に使用することはできない。購入の際には、それが品質確認の目安になるかもしれない。
(参照:インターネットで行う「エコ出願」 近畿大学が商標とロゴを無償貸与)

IPS液晶は1996年に日立製作所がメルクと共同で開発した。名前は「In Plane Switching(面内切替)」の頭文字。現在は、かつて日立ディスプレイズが所有していた株式会社ジャパンディスプレイイーストによって商標が登録されている。特長として、まず視野角の広さが挙げられる。液晶を斜めから見ても、従来の液晶に比べ色あせることがなく、また鮮やかな発色も人気の理由のひとつである。

上記のような理由から、基本的に高品質というイメージが強く、家電やパソコン関連でも上位モデルの商品に搭載されていることが多い。このイメージを利用してか、類似の技術を用いた「IPS相当」というだけの商品も目にするようになってきた。商標を使用していないということは、イメージだけを目当てに名前を利用し、品質を満たしていない可能性も否定できない。

判断基準のひとつとして、まずIPSのロゴをカタログなどで確認するのが一番だろう。ロゴマークは「IPS」のIの前に、Iが起き上がるような形で青、緑、赤のIがつながり、主体となる「IPS」の文字自体は黒字である。これが確認できなければ、注意した方がいいかもしれない。

記事では、「IPS液晶」という表示がアウトとなっていますが、登録商標の公報を見ると「IPS」は、第5576456号、第5059259号で登録になっており、「IPS」を商標として使用するのがそもそもアウトですね。権利者は、株式会社ジャパンディスプレイイーストです。
「IPS」の文字商標も登録になっているので、ロゴでなくても「IPS」が商品に商標として付いていれば、それは権利者の許可を得ているか侵害かのいずれかとなります。つまり、ロゴでなくても「IPS」がパッケージに使用されていれば、基本的には安心していいでしょう。

「IPS相当」という表示は、店舗毎で勝手に行っているのであろうと推測しますが、「IPS相当」と商品に記載するのも商標権侵害の可能性があるのではないでしょうか。侵害とは、登録商標と同一又は類似する商標を指定商品又は指定役務と同一又は類似する商品又は役務に無断で使用する行為ですから。
「IPS相当」などという表示が余りに広く知られていくと、「IPS」が機能を表示する標章のようになり、出所表示機能が無くなって一般用語になってしまう可能性があるため、権利者がこのような表示を禁止する可能性もあります。ファミコンが有名になったときに「任天堂の登録商標です」と書かせるようになりましたよね。同じ状況です。
いずれにしても、商標は機能を表示するものではなく、基本的には出所を表示するものですので、「IPS」が付いていれば、株式会社ジャパンディスプレイイーストの製品又は株式会社ジャパンディスプレイイーストが使用許可を出した会社の製品ですので安心して購入していいと思います。