大分県が「おんせん県」の商標登録を申請していた件で、特許庁が現状では登録は認められないという通知を出していたことが2013年5月17日に明らかになった。
(参照:地域団体商標制度とは?)
別府や湯布院といった有名どころを有する大分県には、泉質も違う様々な温泉地が点在する。源泉数約4,500、湧出量も1分あたり約290キロリットルと、他県にはない日本一を自負できる温泉の強みがある。過去には香川県が「うどん県」で商標登録していることから、登録は濃厚とみられていた。
「おんせん県」は申請前から、おんせん県観光誘致協議会長で、別府市にあるホテル白菊の社長、西田陽一さんが観光キャンペーンに使っていた語句である。他者に先を越され、商標を使用できなくなっては困るという理由から、申請に乗り出した。
申請当時は、温泉を不当に独り占めしようとしているとして、同じく「温泉県」の語句を使用していた草津温泉で有名な群馬県などから批判を受けた。漢字表記については商標権を主張しないなどの和解があり、両者の間で現在は確執はないようであるが、特許庁は拒絶理由として、大分県はあくまで温泉が多い県のひとつという認識の域を出ないこと、そして他所でも使用されている点を挙げた。
意見書を提出するかどうかは現在検討中だという。一方で、登録が拒絶されたということは、「おんせん県」の商標が、誰かに独占されるものではなく、広く誰でも使えるものであると示されたことを意味する。当初の申請の動機を考えても、関係者含め、安堵しているのも事実のようだ。