2017年2月6日、特許庁は商標登録出願の早期審査・早期審理の対象となる案件を拡大すると発表した。通常の出願に優先して審査や審理を行なう対象を広げ、特にスピード感を求める案件への対応充実を進めていくこととなった。
(参照:特許庁 商標権管理の仕組みを2017年4月より改定

対象となるのは2つの出願となっている。一つ目は、国際登録を行なう場合には日本の特許庁への出願が基礎条件となるため、その審査結果を早く知りたいとの要望が強まっている件だ。

これまではすでに国際出願を終えた案件のみを早期審理の対象としてきたが、今後は国際出願予定の案件も緊急性を要するものとして優先的に審査を行なうこととなった。

二つ目は、指定商品や指定役務として指定しているのが「例示掲載商品」のみの場合だ。

商品や役務の指定に関しては、「商標法施行規則別表」や「類似商品・役務審査基準」、また「商品・サービス国際分類表(ニース分類)」といったものに例示として掲載されているもののみを指定しているなら、権利化の緊急性がなくても、すべての商品や役務に使用していなくても早期審査・早期審理の対象となることとなった。

これにより、多様化していくユーザーニーズにさらに応える改訂となった。

商標権に関しては、実際に登録した商標を使用して営業を行うつもりがないのに、他人が登録しようとしている商標をわざと先に登録して、本当にその商標を営業に使用しようとしているものがそれを利用できないようにしたり、高額の使用許諾料を請求したりするトラブルが後を絶ちません。

そのような、トラブルに巻き揉まれないためには、正当な商標の考案者が、一日でも早く商標登録を行って、その商標の権利化を図る必要があります。

そのような状況下、いち早く商標登録が可能となる商標権の早期審査、早期審理の対象が拡大されたということは、時代のニーズに合った的確な施策であると言えます。

なお、今後は、今回の改正に合わせて、商標の早期審査・早期審理制度を利用する場合には、他国への出願と同時に日本での商標出願を行うだとか、商標出願の際に定める指定商品や指定役務を、「商品・サービス国際分類表(ニース分類)」における「例示掲載商品」にするなど、工夫が必要となります。