2016年1月9日、2020東京五輪のエンブレム委員会は本審査を終了し最終候補4作品に絞り込んだと発表した。今後、商標調査および商標登録出願ののちにデザインを公表し、国民の意見を募ったうえで候補一点を選定することになる。
(参照:東京五輪エンブレム酷似、「問題ない」

東京五輪エンブレムは改めて一般公募で選びなおすこととなり、1万4599点の応募があった。2015年中に行なわれた予備審査で64点に絞り込 まれ、今回招集されたエンブレム委員会により最終候補が決定した。

今後は国内外の商標調査をして類似作品の有無を確認するとともに商標出願を行なっていく。調査で問題ない候補作品は公式サイトで公表され、広く国民からの意見を求めつつ最終決定が行なわれていく。

2020年に東京で開催される夏季オリンピックは当初、デザイナー佐野研二郎による作品が公式エンブレムとして採用され華々しく発表されたが、その後ベル ギーの劇場エンブレムと酷似しているなどと商標侵害問題で揺れた経緯がある。

東京五輪組織委員会によると、今回の商標調査及び商標出願にかかる費用は、作品1点当たり約2,000万円だそうです。最終候補が4点ですから、合計で8,000万円の費用がかかることになります。

しかし、東京オリンピックのエンブレムは全世界に公開されますので、万が一、それが商標トラブルを抱えた場合のリスクを考えると、8,000万円という金額は決して高いものではないかもしれません。

一般の商標であれば、登録商標の類似商標を使用したとしても、商標権者が類似商標が使用されていることを発見できなかったという理由で、商標権のトラブルが回避される可能性も十分に考えられます。

しかし、東京五輪エンブレムのような世界中に公開される商標は、万が一、誰かの登録商標に類似している場合には、発見されないという可能性はほとんどなく、間違いなく商標トラブルが起こります。このことに配慮して、今回の商標調査は、たとえ高額の費用がかかるにしても、徹底して行う必要があるものと考えられます。