2015年7月19日、食品大手メーカーの味の素は、商標権侵害対策の強化を図り対処法虎の巻に英語版を加えた。海外においても模倣品への対策を強化、撲滅へ向けて取り組みを進めていく。
(参照:居酒屋「笑・笑」、大手居酒屋チェーン「笑笑」の商標権侵害で家宅捜索

今回リリースされた商標権侵害対策の虎の巻は、「商標侵害対策 虎の巻」と題するルール集の英語版となっている。味の素の海外現地法人の知的財産担当者を含む一部の社員だけが、閲覧できる極秘資料となっている。

本社と現地法人の役割分担・商標侵害を発見した場合の初動方法といった対策マニュアルで、タイ、ベトナム、中国、米国、ブラジル、フランスなど14カ国の現地法人が活用していく予定だ。
味の素は、海外各国に現地法人を置くグローバル企業だ。海外での売上高が全体の50%を超えるという海外依存度の高い企業であるものの、東南アジアやアフリカといった新興国で「味の素」の模倣品対策に悩まされている。

この問題が株価下落の原因ともなっているため同社としては対策を急いでおり、 市場調査からの摘発をはじめ現地当局からの支援を得ていきたい模様だ。

グローバル経済が進展するなか、日本企業が海外で活動する機会も非常に多くなってまいりました。その結果、様々な問題が発生するようになりましたが、その中でも注目されるのが、知的財産権に関する問題です。

日本企業の製品が海外で少しでも有名になると、必ず模倣品が出回るようになります。

品質の悪い模倣品が出回ると、本物の日本製品のブランドイメージが崩れますし、品質が同程度だとすると、消費者の多くが模倣品に流れ、本物の日本企業が長年の努力によって獲得したブランド力が横取りされます。

このような模倣品の製造・販売による商標権の侵害は、今回の事例における「味の素」のように、株価すら左右する重大な問題となります。

グローバル経済化は今後ますます進展してゆきますから、それに合わせて、日本企業の海外における知的財産保護対策の重要性も、今後より高まっていくことは間違いありません。