2015年7月21日、ヤッホーブルーイングは商標登録の無効を求めていた裁判で和解が成立したと発表した。
(参照:知的財産高裁、シャープ液晶『IGZO』の商標無効を支持

今後、原告のヤッホーブルーイングが「軽井沢高原ビール」の商標を、被告の軽井沢ブルワリーが新たな商標「THE 軽井沢ビール 浅間名水」の商標を使用することで合意した。

この問題はヤッホーブルーイングが軽井沢ブルワリーを相手取り、商標登録の無効を訴えていたものだ。ヤッホーブルーイングが「軽井沢高原ビール」を発売した直後、軽井沢ブルワリーが「軽井沢浅間高原ビール」を販売開始した。

「軽井沢浅間高原ビール」は商標登録が認められたものの、ヤッホーブルーイングは誤認混同の恐れを理由に商標登録無効を主張し提訴、無効が認められた。

しかし、軽井沢ブルワリーがこれを不服として知財高裁に上告、最高裁にまでもつれこんだが、2015年6月23日最高裁は棄却を決定した。棄却を受けて軽井沢ブルワリーが協議を申し入れ、新たな商標に変更することで和解合意できた。

軽井沢ブルワリーにしてみれば、「軽井沢浅間高原ビール」の商標を出願した際の特許庁の審査で、他の登録商標と誤認混同の恐れがないかどうかが調査され、その結果、誤認混同の恐れがないと判断されたから登録されたのにもかかわらず、その判断が最高裁までいって覆されたわけですから、大変な目にあったといえましょう。

商標を変更しますと、商品に貼付するラベルの文字やパンフレットや広告用看板の文字等、すべてを変更しなくてはなりません。その費用と労力が相当なものになります。

今回の事件は、他人の商標と類似する商標を権利化及び使用する場合には、大きなリスクを背負うことになるということを示す事例でした。