2017年4月21日、静岡県西部の繊維品「遠州織物」が地域団体商標として登録された。2017年8月10日に県西部の繊維4組合が発表し、ロゴマークが新規製作され、地域ブランドの確立を目指していく。
(参照:静岡B級グルメ、「みしまコロッケ」が地域団体商標に登録査定

商標権者は、遠州織物工業協同組合、天龍社織物工業協同組合、浜松織物協同組合、浜松広巾織物産元協同組合の4組合となっている。産地間競争に打ち勝つための策として、海外からも高い評価を受けている品質を前面に押し出して全国展開を図っている。今後この商標を使用できるのは、商標権者である4組合の組合員が生産する織物のうち、認定を受けたものに限られる。また、組合員以外でも4組合からの承認があれば使用可能だ。

「遠州織物」は江戸時代から静岡県遠州地域で生産されている伝統的な綿織物である。明治期には別珍コールテン、昭和期には注染そめなどの浴衣生産で発展を遂げ、平成の現在では綿だけでなく合成繊維も含めた多様な織物の産地である。今回の商標登録により、静岡県内の地域団体商標は21件となった。

安価な外国製品の氾濫で、日本の伝統的な織物工業は衰退する一方ですが、優れた日本の伝統技術は、何としても、後世に引き継いでいかなくてはなりません。そのためには、政府の保護政策も重要ですが、何といっても一番良いのは、伝統産業自体が競争力を有し、自立的に自らの存在を維持できるようになることです。

安価な外国製品に対抗できる競争力を有するためには、製品のブランド化を行い、地域の枠を超えて、日本全国、さらには、海外市場に対して、伝統産業による製品のよさをアピールし、販売を増加させていくことが重要です。

その意味では、遠州織物工業協同組合、天龍社織物工業協同組合、浜松織物協同組合、浜松広巾織物産元協同組合の4組合が、販路拡大のために、伝統的工業製品である「遠州織物」の地域団体商標登録を行ったことは、まさに正鵠を得た措置であるといえます。