2015年3月3日、名古屋南署は静岡市在住の主婦を商標法違反の疑いで逮捕した。容疑者は偽ブランド品を販売目的で所持していた疑いが持たれている。
(参照:マイクロソフト「Office」のロゴを不正使用、商標法違反の疑いで会社役員が逮捕

押収物の中には中国からの国際郵便で送られてきたものもあり、今後財務省は中国関税当局と連携して取り締まりを強化していく方針だ。今回の摘発は2014年9月26日、名古屋南署の「サイバーパトロール」がインターネット上での違法行為を捜していたことから発覚した。

容疑者は、インターネットのオークションサイトで「シャネル」や「ルイヴィトン」といったブランドの偽物ネックレス・ピアス・ブレスレット・フロアマット・サンダルなどを販売しており、警察が家宅捜索したところ、約1,500点の偽 ブランド品が押収された。容疑者は容疑を認めている。

税関で偽ブランド品が差し止められた数は、現在過去最高を記録している。ニセブランド品など知的財産侵害物品は年々増加の一途をたどっており、2014年には3万2,060件とはじめて3万件の大台を突破した。特にその90%以上は中国からの輸入品となっている。

商標法第78条は、商標権又は占使用権を侵害した者は、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金、又はこれを併科すると規定しています。

また、同法第78条の2では、登録商標と同一の指定商品・役務に対して登録商標と類似する商標を使用した場合、又は、登録商標と同一又は類似商標を、登録商標が指定する商品・役務に類似する商品・役務について使用した場合など、商標権などの侵害行為とみなされる行為をした者に対して、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれを併科すると規定しています。

このように、他人の商標権を侵害した者に対しては、法律上非常に厳しい刑罰が科せられます。今回逮捕された静岡市在住の主婦の直接の逮捕容疑は、偽ブランド商品を販売目的のために所持していたことですから、最初は、商標法第78条の2の、商標権などの侵害と見做される行為に該当すると考えられます。

その行為に対する刑罰は、商標権を直接侵害した場合の刑罰よりも軽いとはいえ、最高で、5年の懲役と500万円の罰金の両方が課されますから、大変重い罰を受けることになります。

ちなみに、他人の財物を窃取した者に科せられる窃盗罪に対しては、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が刑罰として規定されています。

また、自己の占有する他人の物を横領した者に科せられる横領罪に対しては、5年以下の懲役が刑罰として規定されています。これらと比較すると、他人の商標権を侵害する行為が、非常に重く罰せられるということが分かります。