同一の標章でも区分が違えば商標登録する事が出来ますか?
区分が違えば、同一の標章が登録できるかというと、登録できる場合もありますし、できない場合もあります。それは、同一の標章は、同一又は類似の商品・役務を指定して登録することはできません。しかし、この同一又は類似の判断は、出願の際に指定した区分によって判断されるのではなく、指定した商品・役務に付された類似群コードにより判断されるからです。
従って、同一標章を、同一区分で出願しても、指定した商品・役務の類似群コードが異なれば、原則として登録ができます。反対に、異なる区分で出願しても、類似群コードが同一であれば、登録が拒否されます。なお、類似群コードというのは、各区分の指定商品・役務に付されたアルファベットとアラビア数字から構成される5ケタのコード番号のことです。
この番号は、特許庁で公表している類似商品・役務審査基準に記載されています。これは、例えば、区分第16類、指定商品「書籍」には「26A01」、第24類指定商品タオルには「17B01」、第44類指定役務「医業」には「42V02」などと、すべての指定商品・指定役務について定められております。
出願しようとする商標の標章と同一の標章が他人により既に登録済みの場合、まず、自分の出願する商標の指定商品・役務の類似群コードを確認します。そして、登録済みの他人の商標の類似群コードを確認します。これが、全く同一の場合には、登録できません。異なっていれば、登録できます。一般的には、このようにして登録の可否を判断します。
なお、この類似群コードは、区分が同じ商品等だから同じだとか、区分が異なる商品等だから異なるということはありません。異なる区分の商品等でも、同一の類似群コードが付される場合もあります。
例えば、第2類の「染料」の類似群コードは「03A01」、「絵具」は「25B01」、「防錆グリース」が「05B01」となっています。このように、同一の区分でも指定商品位より、コードは異なります。また、第4類には「工業用油」があり、このコードは「05B01」です。これは、区分の異なる第2類の「防錆グリース」と同一のコードです。したがって、区分が異なる場合でも、指定商品等により同一の類似群コードが付けられる場合もあります。
このような理由から、同一・類似の判断に関しては、区分は問題とせずに、専ら、類似群コードのみを問題とします。なお、非常に広い商品等の範囲に同一の類似群コードが付される場合もあります。その場合には、同一の類似群コードでも、同一標章が登録される場合もあります。
また、審査では類似群コードを基本に商品や役務の類否判断がされますが、拒絶査定不服審判や侵害訴訟では、類似群コードが一致しているからといって商品や役務が類似していると判断されるわけではなく、事案毎に判断がなされます。拒絶査定となっても審判において商品や役務が非類似と判断される可能性があるのであきらめないで下さい。