2020年10月21日、特許庁は「キャベツウニ」を商標登録した。今後は一層の販売強化やブランディングアップを目指している。 (参照:和歌山「紀の川はっさく」一皮むけてブランド化へ 特許庁に商標出願

商標権者は神奈川県水産技術センターとなっている。これまでムラサキウニは海藻類を食べ尽くしてしまい「磯焼け」を発生させるとして、駆除の対象となってきた。この駆除したムラサキウニにキャベツなどの葉物を与えると非常によく食べることが、同センターで観察された。

食べてみると甘味成分が多く苦み成分は少ないという特徴があり、磯臭さも天然ものに比べて感じられないというメリットが発見された。同時に農家では規格外のキャベツなど葉物野菜が破棄されるという状況もあった。この「駆除された」ムラサキウニと「破棄された」キャベツの組み合わせで非常においしい食材を養殖できると、同センターでは県内の漁協や民間企業に技術指導をしてきた。

現在ではこの手法を取り入れて養殖販売することも行われている。そのため販売促進のために今回の商標登録をすることとなった。すでに「磯焼け救援隊キャベツウニ」「菜食系キャベツウニ」が商標出願されている。

「ムラサキウニ」は、海を荒らすので駆除されるべき「ウニ」と、規格外で廃棄されるべき「キャベツ」というマイナスな存在を掛け合わせて、おいしい水産物を産出するという非常にユニークな存在です。しかし、いくらユニークな存在でも、ブランドを確立できないため、消費者にそのユニークさをうまく伝える事が出来なければ、販売が低迷し、一時的な存在として、長く消費者の記憶に残ることはないでしょう。

一方、商標登録によってブランドを確立し、消費者にうまくアピールができれば、販売が伸びて、商品としての長い寿命を保つことができます。現在の市場では、いくら良い商品やサービスを開発してもそれだけでは不完全であり、ブランド戦略を中心とした、効果的にその良さを宣伝できる手段を確保することが成功の重要な鍵となっています。