2020年1月8日、和歌山県の農産物「紀の川はっさく」が特許庁に商標出願された。これまで以上に知名度アップを図りたい考えだ。 (参照:和歌山産の海藻「紀州ひろめ」、地域団体商標に登録

商標申請者は一般社団法人「紀の川フルーツ観光局」となっている。和歌山県は全国の生産量・栽培面積ともに全国第1位であり、国内生産量の約70%を占めている。紀の川市はその中でも県内第1位の生産量の約1万トンと、自治体の中では日本一を誇る名産品である。

紀の川市の温暖な気候が、寒さに弱いはっさくにマッチしており、第2次大戦後から水田に変わる農産物として生産されてきた。実にはビタミンCが豊富に含まれ、皮はジャムやマーマーレードなどに加工していただけるフルーツとなっている。

紀の川市議会で「紀の川はっさく」のPR費として220万円が計上され、今回の商標出願も行うこととなった。

紀の川市で生産される農産物の商標というと、「地域名₊商品名」で構成される地域団体商標をすぐに思い浮かべるのですが、今回は、それではなく一般の商標としての出願です。

地域団体商標の方が、より、その地域の農産物であるという点をより効果的にアピールできるのですが、地域団体商標として登録されるためには、出願者が、商工会や農協などの一定の要件を満たした団体であることが必要であるとか、出願された商品が、原則として、生産地が属する都道府県を超える程度の知名度を有している必要があるなど、厳しい条件をクリアする必要があります。

この点、一般的な商標出願であれば、個人でも一般企業でも出願者になれます。特に、農産物の場合、地域団体商標は、農協などの生産者団体以外が登録することは非常に難しいですが、一般の商標なら、生産者以外の団体でも、比較的容易に登録できます。

今回出願した「紀の川フルーツ観光局」は、生産者団体ではありませんが、今回の出願は、地域団体商標的な商標を、生産者団体ではない団体が一般商標としての登録を目指すという、興味深い事例ということができます。