2017年5月、千葉県の「習志野ソーセージ」が地域団体商標として登録されることとなった。今後は東京を始めとして全国への販路拡大を目指していく。
(参照:船橋のナシ、「船橋のなし」として地域団体商標登録が認可

「習志野ソーセージ」がご当地グルメとなった背景には、約100年前にドイツ式ソーセージ製法が習志野市に伝えられた、との歴史に基づいている。第一次世界大戦中に捕虜となったドイツ兵が収容されていた「習志野捕虜収容所」において、ドイツでソーセージ職人として働いていたドイツ兵によりソーセージが製造されていた。

それを知った千葉市畜産試験場の技師がその技術秘伝を伝授され、日本全国の食肉加工業者へ伝承されていったとの歴史が残っている。

「習志野ソーセージ」には、発色剤や保存料、リン酸塩を一切使用しないこと、肉のうまみを生かした製法であることが特徴となっている。ソーセージ製法には大きく分けて、羊の腸を使用した羊腸使用の「ウインナー」、および豚の腸を使用した豚腸使用の「フランクフルト」の二種類が存在している。

「習志野ソーセージ」は豚腸使用の「フランクフルト」として製造されており、表面をよく焼くことでおいしくいただけるソーセージとなっている。

スーパーに出かけると、実に様々な種類のソーセージが陳列棚に並んでいます。値段も廉価なものから、数本しか入っていないのに千円以上となるものまで、多様です。

今回地域団体商標登録を行った「習志野ソーセージ」には、長い歴史があり、100年以上前にドイツ人によって伝えられた製法を、習志野市の事業者が現在まで守り伝えてきて、現在の姿となっています。

しかし、「習志野ソーセージ」のブランドを冠しないで、ただスーパーに並んでいたのであれば、誰も、このソーセージの歴史について気をとめるものはいないでしょう。

「習志野ソーセージ」という名称を地域団体商標として登録することによって、多くの方々に対して、習志野ソーセージの長い歴史を伝えることができます。

地域団体商標登録制度は、基本的には、営利目的で利用されているということは間違いはないのですが、ブランドによって販売される商品の歴史や、その制作に携わった方々の思いを、消費者に伝えるという文化的な側面も併せ持っているという側面も忘れてはなりません。