商標登録をする際に気になるのが商標権の範囲です。商標登録をした場合、独占権(独占的使用権)と禁止権(排他権)の2つの権利を得ることができます。(参考:商標権の侵害とは?

独占権は、商標を指定商品又は指定役務に独占的に使用できる権利です。禁止権は、他人が登録商標と同一又は類似する商標を、指定商品又は指定役務と同一又は類似する商品又は役務に使用することを防止することができる権利です。

さて、では商標権の範囲はどうなるのでしょうか。独占権は上述したように、登録した商標と同一の商標を指定商品又は指定役務に使用することができます。

登録した商標と同一といっても、何もかも同一でなくてはいけないというわけではありません。例えば平仮名、標準文字で商標登録をしたとします。これを片仮名で使用するのはどうでしょうか。基本的には登録商標と同一となります。では、ローマ字で使用したらどうなるでしょうか。一般的に平仮名とローマ字で同一の称呼を生じ、ローマ字を読んだときに誰もが平仮名の商標と同じ称呼を生じるのであれば同一の範囲内と見られるでしょう。社会通念上同一だからです。

また、色つきの商標を取得した場合、色彩のみが違う場合は、登録商標を使用していると見られる可能性が高いでしょう(商標法第70条)。指定商品又は指定役務と同一に関しては、基本的に指定商品又は指定役務と同一である必要があります。指定商品又は指定役務に類似するからといって、商標権で使用することを認められているわけではないので注意が必要です。

禁止権に関しては、上述したとおり同一と類似までが範囲となります。