2015年4月21日、大手焼き鳥居酒屋チェーン「鳥貴族」が類似標章などを理由に訴えを起こしていた裁判の第1回口頭弁論が行なわれた。訴えられた「鳥二郎」側は請求棄却を求めた。
(参照:居酒屋「笑・笑」、大手居酒屋チェーン「笑笑」の商標権侵害で家宅捜索

訴えを起こしたのは全国で居酒屋チェーンを展開する「鳥貴族」である。大阪を拠点とし、1986年の創業以来、全国へ約390店舗を広げている焼き鳥居酒屋の最大手チェーンだ。

訴状によると、同業の「鳥二郎」の看板ロゴマークやメニュー、内装などが「鳥貴族」と酷似しているため損害を受けたとし、標章の使用禁止と約6,000万円の損害賠償を請求している。

「鳥貴族」側は、ロゴマークの「鳥」の字をニワトリの姿を模した点や、赤と黄を基調とした店内の内装、従業員の服装、そしてメニューの価格やネーミングなどが酷似しているとの主張をしている。

また、京都や大阪の4店舗では「鳥貴族」と同じビルの真上か真下で営業していた。インターネット投稿でも、「鳥貴族と思って入ったら鳥二郎だった」などとお客が間違うことが話題となっている。

被告側の居酒屋・鳥二郎は、「鳥二郎」の商標を既に登録しています。この商標登録に対して、鳥貴族側が異議申し立てをしておりますが、現在のところ、その異議申し立ては審査中で結論が出ておりません。

仮に、商標登録に対する鳥貴族側の異議申立てに対して、特許庁がその異議申し立てを認めず、商標登録を維持すべき旨の決定がなされた場合、この裁判は、原告にとってかなり不利な状況になります。

鳥二郎は、「鳥二郎」の商標を正当な権利に基いて使用していることになりますから、それ対して使用禁止や損害賠償を求めることは困難になります。

一方、鳥貴族側の異議申立てが認められ、「鳥二郎」の商標登録を取消すべき旨の決定がなされた場合には、反対に、この裁判は原告である鳥貴族が優勢になります。

特許庁が商標登録を取消すべき旨の決定をすると、「鳥二郎」に係るの商標権は始めから存在しなかったことになります。そうすれば、鳥二郎は商標権による保護を受けることができませんから、原告の主張が非常に認められやすくなります。

いずれにしても、この裁判には、「鳥二郎」の商標登録に対する鳥貴族側の異議申し立てについて、特許庁がどういう判断をするかが、大きくかかわってくると考えられます。