2020年8月3日、富山県高岡市の伝統工芸である「高岡漆器」が地域団体商標に登録された。商標権者は地方自治体と連携し、ブランディングアップを目指していく構えだ。 (参照:地域団体商標に岐阜県大垣市の「大垣の枡」と「大垣の木枡」

商標権者は伝統工芸高岡漆器協同組合となっている。「高岡漆器」は江戸時代の初期から続く伝統ある工芸品となっている。加賀藩の藩主である前田利長が全国から漆器職人を集め、制作を始めたことがきっかけとなっている。明治の文豪、夏目漱石も好んだといわれており、細部にまで技巧を凝らした伝統あるデザインが評価されている。

「高岡漆器」で有名な青貝塗は、アワビの貝殻などを原料にしている。彫刻塗も有名で、その名の通り木製の器や亀甲の器に彫刻を施したうえで漆塗をするのが特徴となっている。また、勇助塗は唐様の絵柄に花鳥風月などの錆絵や箔絵を乗せたうえで、青貝や玉石などを配置したきらびやかなデザイン工芸となっている。同じ高岡市の伝統工芸では、高岡銅器がすでに地域団体商標に登録しており、県内で13件目の登録となっている。

富山県高岡市というと既に地域団体商標登録がなされている「高岡銅器」が有名ですが、今回は「漆器」が登録されました。特許庁が公開している商標審査基準によると、「漆器」のような工芸品等の商品が地域団体商標として登録されるためには、「少なくとも地域が属する一都道府県における多数の需要者に広く認識されていること」が必要になります。

また「経済産業大臣により伝統工芸品として指定されている事実等があれば、それを十分に勘案する」とされています。「高岡漆器」は、1975年に伝統工芸品として指定を受けており、このことは、今回の地域団体商標登録に当たって、有利な事実として働いたことは間違いがありません。

商標審査基準では、地域が属する一都道府県において十分な知名度があれば地域団体商標として登録が可能であるとされていますが、一度、地域団体商標がなされると、今回の例でいえば、高岡市が漆器の産地であることを広く全国にアピールできます。

そして、このことが、製品の販路拡大に大きなメリットを与えます。