2020年7月14日、岐阜の木工品「大垣の枡」と「大垣の木枡」を特許庁は地域団体商標として登録した。さらなる知名度アップや販路拡大を目指していく構えだ。 (参照:佐賀県産農産物「女山(おんなやま)大根」が地域団体商標

商標権者は大垣商工会議所となっている。「大垣の枡」は、日本酒などで使われる木工品の升(マス)である。職人が板を四角に組み合わせて作る升は、液体を入れてもこぼれない圧倒的な精度を誇る木工品である。昔は穀物や液体の体積を図る計量器としての役割が主だったが、現代では香りを楽しみながら味わう飲料用としての利用が多い。京升と江戸升という内容量の異なる二種類の度量衡が使われていたが、今は京升のみとなっている。

原料のヒノキが手に入りやすい地域での生産が多く、木曽や東濃等日本有数の檜の産地に近い大垣市で発展した経緯がある。現在、大垣市内に升製造業者は5社、年間生産量は200万個に上り、全国80%のシェアを誇る。現在は飲食店や宿泊施設、企業のノベルティグッズ、お祝いの引き出物などに引き合いがある。

岐阜県大垣市は、全国シェアの80%を占めるほどの桝の生産地で、年間約200万個の桝が生産されるそうです。桝のような工芸品等の商品が地域団体商標として登録されるためには、「少なくとも地域が属する一都道府県における多数の需要者に広く認識されていること」が必要です。

「大垣の桝」や「大垣の木桝」は、2018年に大阪市議会が「市木桝で地酒による乾杯を推進する条例」が制定されたことや、同年に桝と水まんじゅうを使ってギネス記録に挑戦するイベントが開催されたこと等によって、岐阜県において十分な知名度を獲得しており、それが今回の登録につながったものと考えられます。

今回の登録で、大垣市が桝の一大産地であることを広く全国にアピールできるようになり、大垣市の桝の生産者に大きな利益を与えることは間違いがありません。