2020年9月11日、特許庁は岩手県産「八幡平マッシュルーム」を地域団体商標に登録査定した。今後、登録料の納付後に商標が登録される見通しだ。 (参照:特許庁、「高岡漆器」を地域団体商標

商標権者は八幡平地熱活用プロジェクトとなっている。「八幡平マッシュルーム」は同プロジェクトがハウス栽培している農産品である。温泉地熱、冷涼で乾燥した気候、岩手山や八幡平からの伏流水、引退した競走馬のたい肥といったロケーションを活用し、農薬を使わずに生産されている。

八幡平地熱活用プロジェクトでは、引退した競走馬のたい肥を温泉地熱で発酵させることで循環型有機農業を促進している。フランスで生産されるマッシュルームが馬のたい肥で育てられていることに着目し、地熱によって温度管理されたハウス内での栽培が、おいしいマッシュルームを生み出している。

今回査定された地域団体商標は、地場産品のブランド保護やブランディングアップ、地域経済活性化のために活用されている。

マッシュルームのような農産物については、安価で日常的に消費されるものについては、産地が属する都道府県を超える程度の範囲における多数の需要者に広く認識される程度の知名度があれば、地域団体商標として登録可能です。

一方、高価で、生産地では販売されず、主として大消費地で販売されるものについては、少なくとも、販売地が属する都道府県の多数の需要者に広く認識されている程度の知名度があれば、同商標として登録可能だとされています。

「八幡平マッシュルーム」についていえば、販売価格から考えると、前者の基準に該当することで、地域団体商標として登録されたものと考えられますが、有名シェフから高い評価を受けているとの話もあり、今後は、首都圏などの高級料理店への販売が広がっていく可能性もあります。

いずれにしても、今回、「八幡平マッシュルーム」が登録されたことで、当該ブランドの知名度と信用が一気に上昇することは間違いがありません。