2015年9月9日、日本たばこ産業(JT)は米たばこ大手メーカー:レイノルズ・アメリカンから商標権や子会社などの買収で合意した。JTは今後、国内事業とともに海外事業への展開へ注力していくとしており、世界最大のたばこ産業を目ざす見通しだ。 (参照:資生堂、「セルジュ・ルタンス」の商標権買取で欧州展開

今回買収で合意したのは、たばこブランドの商標権と米国外にある子会社だ。商標権については、米レイノルズ社が保有するたばこブランド「ナチュラル・アメリカン・スピリット」の日本やドイツ、英国、スイスなど米国以外の市場での商標権をJTが買収することで合意した。

同銘柄は米レイノルズ社の主力銘柄の一つで、日本国内でもすでに販売実績がある。子会社については、レイノルズ傘下のサンタフェ・ナチュラル・タバコ社の米国外の子会社9社の株式の大半を取得することとなった。

現在、たばこ業界のシェアは世界1位のフィリップ・モリス・インターナショナルと同2位のブリティシュ・アメリカン・タバコであるが、それに迫る、あるいはそれを抜いてトップに躍り出るという可能性がJTにもでてきたことになる。

今回の企業買収は、日本たばこ産業が、米国レイノズル社の米国外にある子会社と、米国外におけるレイノルズ社のブランド「ナチュラル・アメリカン・スピリット」との商標権を買収するという、すこし変わったものになります。

米国にあるレイノルズ社はそのまま存続し、米国における「ナチュラル・アメリカン・スピリット」のブランド使用権はレイノルズ社がそのまま保有するのですから、日本たばこ産業が、米国レイノズル社の海外販売担当になったようにも思えます。

米国レイノルズ社と日本たばこ産業の間でどういう取り決めがあるのかはわかりません。いずれにしても、今回の件は、企業買収によるブランド戦略にはこのような一風変わったものもあるということを示す事例でした。