2018年6月、沖縄県石垣市のB級グルメ「オニササ」が商標登録された。伝統ある商品名の商標保護に成功し、ファンを喜ばせている。 (参照:南国柑橘系果実、「沖縄シークヮーサー」が地域団体商標に登録

2商標権者は沖縄県石垣市の知念商会である。同商店は1981年に創業のセルフサービス形式の惣菜店となっている。近所の中高生がおにぎりと鶏ささみフライを重ねて食べる姿からヒントを得て、いつからかおにぎりと鶏ささみフライを重ねた「オニササ」が店頭に並ぶようになり、現在では1日約600個もの売り上げを誇る人気商品だ。

2ところがユーザーからの勧めで商標登録を検討すると、「オニササ」はすでに関東地方の事業所で商標登録されていたことが判明した。このままでは慣れ親しまれた片仮名表記の「オニササ」が使えなくなってしまう不安が生じる事態が発生したのである。

2知念商店では、あわてて2017年4月27日に商標登録されていない平仮名表記の「おにささ」を商標出願、2017年8月10日に登録した。平仮名表記の商標出願中に片仮名表記の「オニササ」標記が空いたことも判明し、2017年8月2日再申請を行ない、今回の登録となった。

2商標登録には「先願主義」という原則があり、同じ商標を使いたい複数の人がいる場合、先に出願した人が優先権を持つ、というルールとなっている。

B級グルメの商標は地域団体商標として登録されることが多いのですが、今回の事例は地域団体商標ではなく一般の商標として登録されたものです。従って、商標権者は商工会議所や農協、各種の生産組合ではなく、知念商店という個人(法人化されているかもしれませんが)となっています。

商標登録も大手企業などによって行われることが多く個人が登録することは少ないのですが、逆から言うと、個人で商標登録ができるほど「オニササ」をはやらせた知念商店はすごいということになります。

地域団体商標の審査基準では、日常的に使用される加工食品に関しては、登録しようとするブランドの知名度が少なくとも隣の都道府県までに広がっていることが登録査定となる条件ですが、一般の商標の場合には、そういった厳しい要件はなく、基本的には、同じ商品を指定して登録されている同じブランドが存在しない限り、登録査定となります。