2018年9月、特許庁は商標審査にファストトラック審査を導入すると発表した。通常よりも短い期間で審査を行うことで、増加する商標出願への対応改善が期待されている。 (参照:特許庁、「地域団体商標ガイドブック2018」を発行

ファストトラック審査の対象となる案件は、以下の二つの条件に該当するものとなる。

1つ目は、出願する際に指定する商品・役務が基準等表示に掲載されているもののみである場合である。この場合の基準等表示とは、「類似商品・役務審査基準」、「商標法施行規則」又は「商品・サービス国際分類表(ニース分類)」を指す。

2つ目は、審査が着手されるまでに指定した商品・役務の補正をしていない場合である。この2つのケースに該当する商標出願は、ファストトラック審査として通常よりも短い期間で審査が行われる。

このファストトラック審査を活用する際に、申請や手数料は不要となっている。条件を満たしている出願は自動的にファストトラック審査の対象となる。

このファストトラック審査の開始により、通常平均8か月ほどかかっている審査が2か月ほど短縮され、平均して6か月ほどで審査が終了することになる。

特許権に関しては早期審査制度があり、この制度を利用した場合には、通常は1年から2年の時間がかかる出願から登録までの期間がより短縮されます。

特許権の早期審査制度を利用するためには、中小企業、個人、大学、研究機関等の出願であることや震災復興支援関連の出願である等の一定の要件を満たす必要がありますが、その要件を満たしている限り、無料で利用できます。ただし、通常の特許権の出願申請書に「早期審査に関する事情説明書」を添える必要があります。

商標権に関するファストトラック審査も特許権に関する早期審査制度と似ている制度ですが、こちらは特許権における「早期審査に関する事情説明書」などの追加の書面の提出は必要はありません。商標権の出願を受付した特許庁がファストトラック審査の要件を満たしていると判断した場合には、自動的にファストトラックに移行しますから、その点ではより身近な制度だといえます。また、費用もかかりません。

この制度の導入によって商標権の審査にかかる時間が短縮されるので、商標登録がより行いやすくなることが期待されます。