2020年4月24日、愛知県は県産米「愛ひとつぶ」のブランドマークを商標出願した。今後は全国ブランドを目指し、作付面積も増加させていく方針だ。 (参照:愛知県 B級グルメ「豊川いなり寿司」地域団体商標に登録査定

商標権者は「愛知123号」ブランド化推進協議会となっている。同協議会は、愛知県および愛知県経済農業協同組合連合会を始め県内の農業団体で構成される団体となっている。「愛ひとつぶ」のブランドマークは、漢字の「愛」をデザイン化したもので、日本の伝統の水引を連想させる赤い三本戦で構成されているものだ。デザインは公募され、1,906件から選ばれた。指定使役は第30類となっている。

「愛ひとつぶ」は、愛知123号のうち、検査等級が一級の基準を満たし、タンパク質が6.4%以下のものを厳選して出荷することになっている。愛知県農業総合試験場が開発したブランド米で、猛暑でも品質が落ちない、コシヒカリのような粘り気や味を持つことが特徴である。2020年9月に初出荷、販売開始の予定となっている。

地域と密接なつながりのある米は、地域団体商標として登録されることが多い農産物です。特許庁が出している地域団体商標ガイドブック(2019年)によると、2018年末時点で、全国に645件の地域団体商標登録がありますが、そのうちの10件が米に関するものです。

コメに関する地域団体商標は、市町村名又はその旧名に「米」をプラスしたネーミングであることが多いのですが、北海道米や京都米など、都道府県名+「米」で構成されるものもあります。

今回出願された「愛ひとつぶ」も、「愛知ひとつぶ」であれば、地域団体商標出願となっていたでしょう。「愛ひとつぶ」は愛知県産の米なので、地域団体商標登録でもおかしくはないのですが、「愛ひとつぶ」を「愛知ひとつぶ」にしてしまうと、「愛情をこめて作った米」に「愛知県」をかけているというウイットの効いたこのネーミングの良さが損なわれてしまいます。

その点では、地域団体商標を目指すよりも、商標出願で「愛ひとつぶ」の方が良いと思われます。