2020年5月11日、特許庁は自身が開発した検索システム「アドパス」を商標登録した。今後は特許文書をこれまで以上に便利に検索し、必要な人が必要な情報を取得できる環境を整えていく予定だ。 (参照:特許庁「事例から学ぶ 商標活用ガイド」を刊行

商標権者は特許庁となっている。普段は商標出願を受け、審査をし、登録をする特許庁自身が商標を登録することとなった。このシステム「アドパス」は特許文献を管理し検索ができるものである。世界中の特許文献をデータベース化し、最新の情報に常時更新することで、特許審査を高水準に維持することが可能となる。

世界中の特許文献は、言語が違うだけでなく分類などのデータ構造もそれぞれに異なるため、それを一括検索できるようにするためにはAI技術などを駆使して最新のシステムを構築する必要があった。

開発された「アドパス」は商標だけでなく、データ管理についての特許権も取得している。将来的には諸外国の特許庁にも同システムを活用してもらいたい方針だ。

特許庁が今回開発した検索システムには、特許権と商標権の2つの権利が付与されています。特許権は、新規な創作を発明したものに与えられる独占権と定義されていますが、この特許権により、AI技術を駆使して構築した、言語及び構造の異なる世界中の特許文書を一括検索するシステムは、保護を受けることができます。

一方、このシステムに付与された「アドパス」というネーミングは、特許権の保護の対象とはなりませんので、第三者がこのネーミングを使って別のコンピューター検索サービスの提供を始めた場合、特許庁は、法的対抗措置をとることができません。その結果、特許文書検索システム「アドパス」のイメージが崩れて、利用者に混乱を生じることになります。

しかし、この技術に付与されたネーミングの商標登録を行えば、こういった事態は防ぐことができます。