2021年7月15日、長野県伊那市の名産そば「入野谷在来」を地域団体商標に出願したいと検討を始めることが確認された。今後は新しい伊那市の名産品としてブランディングを進めたい考えだ。 (参照:「信州サーモン」、長野養殖サーモンが地域団体商標に登録

地域団体商標への出願を検討しているのは、「信州そば発祥の地 伊那そば振興会」となっている。出願に必要な法人格を持つ農業団体や商工団体に協力を求めたいとしている。

長野県伊那市の入野谷地区は、かつてそばの名産地として知られていた。当時の品種は戦後に改良された「信濃一号」に取って代わられて、その存在は不明となっていた。ところが長野県野菜花き試験場に保管されていた「高遠入野谷」という種が発見され、栽培が始まった。「入野谷在来」という名前で知られるその品種は収穫の後、地元のそば店での販売が開始された。

2020年暮れに、特許庁へ無関係の人物から「入野谷そば」「入野谷在来そば」という名称が商標出願されていたことが発覚した。「高遠そば」という名称も使用例が散見されるため、地元においてブランディング保護の機運が高まり、今回の「入野谷在来」を地域団体商標に出願の検討となった。

地域団体商標登録の審査基準によると、「そば」のような比較的低価格で日常的に消費される商品の場合、需要者の範囲は比較的広範囲に及ぶと考えられるため、当該商品が地域団体商標登録されるためには、産地が属する都道府県を超える程度の範囲における多数の需要者の間に広く認識されていることが必要です。

よって、「入野谷在来」が登録されるためには、少なくとも「長野県」を超えて、隣接都道府県の消費者に、この「そば」の存在が知られている必要があります。

現在「入野谷在来」が、長野県の隣接都道府県の消費者に知られる程度の知名度を有していればよいのですが、そうでない場合、当該ブランドが地域団体商標登録されるためには、PR活動を積極的に行い、そういった知名度を獲得していることを、特許庁にアピールできるようにしておくことが大切です。