2021年5月17日、改定された商標法と意匠法が公布された。今後、1年6ヶ月以内に施行されることとなる。 (参照:特許庁、商標法の一部 国際基準に準ずる改正

これまで知的財産権保護の観点から輸入される模倣品は輸入差し止めなどの措置がとられてきたが、個人使用目的の範囲内は例外として認められてきた。ところが、こうした制度を逆手にとった海外事業者などが荷物を小口にし個人使用目的とする事例が増えている。

そのため、今回の商標法と意匠法改正では、これまでなかった輸入の定義を定めている。これにより、模倣品を商標法や意匠法の侵害行為として認定できることとなった。近年、輸入品の小口化によって輸入差し止め件数が減少していたが、水際対策の改善が期待されている。

また、これまで物品にしか保護が適用されてこなかった意匠法に画像、建築物、内装などのデザインが含まれるようになった。さらに、意匠出願された本意匠に関連する関連意匠の出願が、これまでの公報発行前までから出願より10年に延長された。

より実情に合わせた法律へと改正されている。

今回交付された商標法及び意匠法の改正は、
①新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「非接触型」生活様式の拡大
②電子商取引の急伸に伴う模倣品の流入
③情報通信分野等における特許ライセンスの大規模化及び複雑化

こういった社会経済状況の変化に知的財産制度が対応すること、及び、知的財産制度を安定的に支える基盤を構築すること、以上を目的として実施されます。

具体的な改正内容は、大きく分けると、以下の3項目になります。
(1)新型コロナウイルスの感染拡大に対応したデジタル化等の手続きの整備
(2)デジタル化等の進展に伴う企業行動の変化に対応した権利保護の見直し
(3)知的財産制度の基盤の強化(弁理士制度の見直し等)

時代の流れに合わせて、タイムリーに法律制度を改正していくことで、日本の知的財産制度は、より充実した利用しやすいものに進化してゆきます。