2021年7月5日、ヤフーは「Yahoo!」の商標権を取得したと発表した。今後は国内でより柔軟なブランディングを進めていきたい考えだ。 (参照:三陽商会、「ポール・スチュアート」の国内商標権取得

今回、商標権を手放したのは米国アポロ・グローバル・マネジメントであり、取得したのはZホールディングス傘下のヤフーとなっている。米国ヤフーは「Yahoo!」を所有していたが、2017年に米国通信大手ベライゾン・コミュニケーションズが同社を買収し、「Yahoo!」ブランドは関連企業のベライゾン・メディアが管理していた。

そのため、ヤフーは「Yahoo!」ブランドのライセンス手数料をベライゾンに支払いブランドを展開していた。

2021年後半に、ベライゾンはメディア事業をアポロ社に売却する運びとなり、ヤフーはアポロ社とブランドに関する協議を行っていた。その結果ヤフーは、「Yahoo!」ブランドの日本国内での商標権や技術ライセンスを永久に利用する権利を得られる契約を結び、手数料なしでブランドを国内展開できることとなった。

「Yahoo!」といえば、日本では知らない人がいないほどに有名な大手検索エンジンですので、今まで「Yahoo!」のネーミングが日本国内で商標登録されておらず、今回、初めて登録されたということはあり得ません。案の定、今回の事例は、米国のベライゾン・メディアが所有している「Yahoo!」の商標権を、日本ヤフーに譲渡したものです。

「Yahoo!」ほどメジャーなブランドになると、譲渡の際に支払う対価も相当な金額になったと考えられますが、これは、それほど「Yahoo!」のブランドに価値があるということの証明になります。

商標権の事例というと、新規取得の方がどうしても注目されてしまいますが、既登録の商標権の譲渡も、企業のブランド戦略の一部として重要な役割を担っており、こちらの動きも、よく見ておかなくてはなりません。