2015年2月23日、食品製造大手のキユーピーが会社ロゴマークを兵器などの区分である第13類において商標出願した。キユーピー側による防衛出願であると考えられている。
(参照:同一の標章でも区分が違えば商標登録する事が出来ますか?

特許や商標は「先願主義」と呼ばれる方式に沿って扱われているため、いちばん先に出願した出願者に優先的な権利が認められる仕組みとなっている。しかし、区分が違うと後発の出願が認められるケースも少なくない。

そのため、ほかの区分での模倣を避けるためにあらゆる区分において商標出願することでブランドイメージの保護をすることを「防衛出願」または「防衛的出願」と呼んでいる。今回キユーピーが出願した区分の第13類とは、銃砲、銃砲弾、火薬、爆薬、火工品及びその補助器具、戦車といった商品における商標となっている。

食品メーカーであるキユーピーが今後こうした兵器産業に進出するという意図はないようで、未然にイメージ低下を招くような使用を防ぐための出願であると考えられている。

「キューピー」は米国のイラストレーターであるローズ・オニールが「キューピット」をモチーフに作成したイラストが起源とされています。また「キューピット」は、ローマ神話の愛の神「クピード」の英語読みの表現です。

「キューピー人形」は日本全国で知らない人がいないほど有名ですが、そのイメージから言っても、「鉄砲」「火薬」「爆薬」など戦争に関連した商品とは全く関係がありません。

キューピー社の公式発表でも、キューピー社が兵器産業に進出するつもりは全くなく、兵器関連商品を指定した今回の商標登録は、キューピーのロゴマークがそれらの商品に使用されることを未然に防止するためのものとされています。

商標権の効力は、その商標の出願の際に指定した商品又は役務の範囲にしか及びませんから、キューピー社の登録商標が、兵器関連商品を指定していなければ、兵器関連商品にキューピーのイラストを使用されても、それを禁止できません。

ですから、今回、キューピー社が兵器関連商品を指定してキューピーのロゴマークの商標登録を出願したというわけです。キューピー社のキューピーのロゴマークのイメージを守ろうとする強い意気込みを感じさせる事例でした。