2020年12月28日、特許庁は宮崎県の伝統工芸「都城大弓」を地域団体商標に登録した。地域に根差すブランド品として知財保護を進めていきたい考えだ。 (参照:特許庁、鹿児島の観光地「指宿温泉」ならびに「指宿砂むし温泉」を地域団体商標に登録

商標権者は都城弓製造業協同組合となっている。「都城大弓」は宮崎県都城市を中心とした地域で製造されている弓である。薩摩地方では古来武道が盛んであり、江戸時代の初期にはすでに「都城大弓」の製法が確立していたといわれている。平成6年には国の伝統的工芸品の指定がされており、代々受け継がれてきた職人の技によって、手仕事によって製造されている。

九州地方の温暖な気候によって育てられた真竹と黄櫨(はぜ)が原料となっている。鹿皮を薄く削り約二日間熱して溶かした接着剤を用いた「鰾弓(にべゆみ)」、弓芯と外竹の間に補強材のカーボンシートを挟んだ「カーボン内蔵弓」、表面を火で炙り、焦がした竹を内竹に使用した「焦竹弓」そして半年から数年という間、室炉の中で燻し、表面に煤をつけた竹を内竹に使用した「煤竹弓」などさまざまな種類の弓が作られている。

今後は、同組合に所属する4社のみが「都城大弓」の名称を使用できる。海外での商標登録をも行いたい考えだ。

「都城大弓」は、平成6年に国の伝統工芸品に指定されています。国の伝統工芸品に指定された場合には、伝統工芸品産業の振興に関する法律に基づいて、後継者育成や販路拡大に関し、経済産業省の支援を受けることができます。また、所定の品質検査を受けた製品には「伝統証紙」を貼り付けることができるので、品質保証とブランド確立を図ることができます。

「都城大弓」は、この伝統工芸品指定に加えて、今回、地域団体商標登録を行ったわけですから、今後は、商標権者以外の者がこのブランドを使って弓を販売した場合には、法的な制裁措置を取ることができるようになり、より一層、安心してこのブランドを使用できるようになります。今後「都城大弓」が大きく発展していくことが、期待できます。