2020年12月17日、特許庁は鹿児島県の温泉「指宿温泉」ならびに「指宿砂むし温泉」を地域団体商標に登録した。表記の統一が促されブランディングアップにつながると共に、鹿児島県民にとって明るい話題になることが期待されている。 (参照:鹿児島県霧島市、「霧島茶」が地域団体商標に登録

商標権者は指宿商工会議所となっている。鹿児島市や鹿児島観光協会が支援するなか2019年3月27日に商標出願し、今回の登録となった。これまで「指宿砂蒸し温泉」や「天然砂むし温泉」、「いぶすき温泉」、「指宿おんせん」など様々な表記が使われてきたが、今回の登録により統一表記になりブランディングアップを促したい構えだ。

「指宿砂むし温泉」は、鹿児島県指宿市の海岸にある砂浜などで砂の中に体を埋めて温まる体験だ。10分ほどで全身から汗が出るほど体の芯から温まり、老廃物の除去や酸素・栄養素を吸収し、体をリフレッシュすると年間300万人もの湯治客を集めている。明治時代以前から温泉地としてにぎわっており、300年ほど前から砂むしも行われているという。

鹿児島県内ではこれまで「薩摩焼」「知覧茶」など16件が、地域団体商標に登録されている。

地域団体商標登録は、ブランド商品の流通を防止するために行うことが多いのですが、そのメリットはそれだけにとどまりません。今回の事例では、「指宿温泉」ならびに「指宿砂むし温泉」のネーミングを地域団体商標として登録することによって、バラバラであった指宿の温泉のネーミングが登録されたものに統一されることになると考えられています。

これによって、その地域で温泉にかかわる事業者の間に連帯感が生まれ、また、消費者側にとっても、バラバラなネーミングが使われることによる混乱が起こることがなくなります。こういったことで、ブランドの信頼感や安定感が増大することになるわけですが、その結果、指宿の温泉事業者は、より安心して営業活動に打ち込むことができるようになります。