2018年9月7日、特許庁は東京の農産物である「内藤とうがらし」を地域団体商標に登録査定した。東京の農産物が地域団体商標に査定されるのは初めてのこととなっている。今回の登録によりブランド力の強化と共に、一般家庭への苗の販売強化を目指している。 (参照:鹿児島県霧島市、「霧島茶」が地域団体商標に登録

「内藤とうがらし」は江戸時代に盛んに栽培されていた伝統ある野菜である。現在の超高層ビルが乱立する新宿は、江戸時代には内藤新宿と呼ばれ宿場町として栄えていた。宿場町として繁栄する前の内藤新宿では、この内藤とうがらしを栽培する農家が多数を占めていた

当時盛んに食されていた蕎麦に添える薬味として七味唐辛子が人気を博したのがその理由である。しかし宿場町として栄えるにつれ畑地が減少し、「内藤とうがらし」の栽培も減っていってしまった。2010年に再び「内藤とうがらし」を普及させようという「内藤とうがらしプロジェクト」が発足した。

東京ブランド野菜としての普及に努め、今回の地域団体商標への査定となった。

東京の新宿というと都会のど真ん中なので、地域団体商標登録ができるような農産物などないと考えられるのですが、意外にも今回「内藤とうがらし」が地域団体商標に登録されました。2018年地域団体登録商標ガイドブックに掲載されている東京都内の地域団体商標で野菜・果物に関するものは「稲城の梨」ただ一つです。

しかも、稲城市は東京都の外れで隣の神奈川県に近い場所にあるので、都心(東京23区内)の地域ブランドで野菜や果物に関するものはありません。そんな中で東京の新宿で野菜である「内藤とうがらし」の地域ブランドが登録されたことは話題性があります。

地域団体商標登録の副次的な効果として、現在は高層ビルが乱立する新宿という場所が江戸時代は内藤新宿という宿場町で、その場所にはトウガラシ農家が多く居住していたという歴史も明らかになります。

ビルが乱立する現在の新宿でトウガラシの生産農家を維持していくことは大変なことだとは思いますが、是非とも成功して頂きたいと思います。