2018年6月20日、北海道登別市の「登別温泉」が地域団体商標への登録を目指し動き始めた

(参照:北海道「今金男しゃく」が地域団体商標に登録

登別市に位置していない温泉が「登別温泉」を名乗って大手民泊サイトで宿泊客を呼び込んでいることから、ブランド保護の観点から措置を講じる必要性が叫ばれている。

登別市に属さないのに「登別温泉」をうたっているのは、近隣の胆振管内白老町に位置する宿泊施設だ。現在は「登別温泉」が商標保護の対象ではないため、登別市に位置していなくても処罰や賠償の対象とはならない。

そのため、登別市の定例市議会において市として特許庁の地域団体商標への登録を目指したい意向を明らかにした。商標登録するには、商標権者を目指す団体が特許庁に対して商標出願をし、審査を受ける必要がある。

規定された一定の条件を満たさないものが商標を勝手に使用することはできなくなる。全国では41の温泉が地域団体商標に登録されてブランド保護を受けている。

普通に「登別温泉」といった場合、北海道の登別という地域にある温泉という意味にとられます。そうすると、北海道の登別町内にあれば登別温泉というのか、登別町外にあっても登別町に隣接する地域にある温泉も含めて登別温泉というのか、登別町内にあってもある一定の地区内になければ登別温泉と言えないのかなど、非常に定義があいまいになります。

それゆえ、今回のように登別町外に位置する宿泊施設が「登別温泉」のブランドを使った場合に問題が起こります。白老町の宿泊施設の方は、登別町外にあっても登別町の近隣地にあれば「登別温泉」の名称を使ってもいいだろうと反論することが予測されます。

地域団体商標登録が行われますと、この問題は解決します。仮に、登別町の温泉組合が「登別温泉」の地域団体商標権を獲得した場合、この温泉組合に加入していない宿泊施設は「登別温泉」のブランドを使用できなくなります。

地域商標には様々な効能がありますが、このように対象となるブランドの定義をはっきりさせるという効能があることは見逃せません。

地域商標には様々な効能がありますが、このように対象となるブランドの定義をはっきりさせるという効能があることは見逃せません。