2017年5月30日、福岡県大川市の老舗家具「大川家具」が地域団体商標として登録されたと発表された。今回の登録により一層のブランド強化を図ると共に、海外製品に負けない競争力を増していくことを目指している。
(参照:地理的表示(GⅠ)保護制度、「八女伝統本玉露」と「鹿児島の壺造り黒酢」などが登録

「大川家具」は大川市やその周辺地域において古くから伝わる伝統的な家具として知られている。久留米藩が行なった海上貿易のための船大工の技術が発祥とされており、当時の高度な技術が伝承されている。釘などの金物を一切使わずに木を組み合わせる指物技術を駆使した家具となっている。

「大川家具」の生産高は1991年の1200億円をピークに減少しており、2014年は300億円まで落ち込んでいるのが現状だ。もっとも「大川家具」として認定されるための条件が明確化されていないという課題が残っている。

今後早急に大川商工会議所によって材料や塗料、金物などの定義を定め、「大川家具」認定条件を確立したうえで公式認定をしていく方針だ。

家具に関しては、安価な外国製品が氾濫する中で、国産の家具は、大変な苦戦を強いられているのが現状です。「大川家具」に関しても、1991年から2014年の15年間の間に生産高は約4分の1までに縮小しています。

そのような状況下で、国産家具がいき残っていくことは、非常に厳しいのが現実です。しかし、そうはいっても、古くから伝わる伝統的な方法によって製作される家具は、日本の大切な財産でもあり、消滅してしまう事態はできるだけ避けたいものです。

そこで、注目されるのが、地域団体商標の活用です。製品の品質の維持向上を図ることで、安価な外国製品との差別化を実現し、その上で、地域団体商標を利用して、広範な地域を対象にして宣伝・広告を行えば、確実に、売上げを伸ばすことができます。

今回、大川商工会議所が、「大川家具」の地域団体商標登録を行ったことは、衰退しつつある伝統産業の復活に向けて、まさに正鵠を得た策ということができます。